ふるさと納税の確定申告の方法は?e-Taxやスマホでの申告手順を解説

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ふるさと納税は任意の自治体に寄付することで、その年の所得税や、翌年以降の住民税から一定額の控除が受けられる制度です。自治体によっては、寄付額に応じて返礼品が受け取れる場合もあり、近年では利用者が増えています。

しかし「やってみたいけど、確定申告が面倒」「確定申告のやり方がよく分からない」と感じている人も多いでしょう。

確定申告は、実はそこまで複雑な手続きではありません。パソコンやスマホさえあれば簡単に申告書を作成できるのです。

本記事では、ふるさと納税の確定申告について詳しく解説します。具体的な手順も紹介しているので、ぜひ自分に合った提出方法を見つけ、実践してみてください。

ふるさと納税の確定申告が必要な人とは

ふるさと納税をした人で、確定申告が必要となるのは、以下の条件に当てはまる人です。

たとえば会社員(サラリーマン)の人は、本来自分で確定申告する必要がないため、「1.もともと確定申告が必要な人」には当てはまりません。

さらにふるさと納税をしても「ふるさと納税ワンストップ特例制度」(以下、ワンストップ特例制度)を使えば、自ら確定申告をしなくても控除が受けられます。

ふるさと納税ワンストップ特例制度

このように、ふるさと納税をしても確定申告しなくて良いケースにはさまざまなパターンが考えられます。まずは自分に確定申告が必要かどうか、チェックしてみてください。

もともと確定申告が必要な人

毎年確定申告が必要な人は、ふるさと納税をした場合も同じように確定申告は欠かせません。たとえば、以下の条件に当てはまる人は確定申告が必須です。

  • 自営業者
  • 会社員で、給与所得が2,000万円以上ある人
  • 給与以外の所得(副業の収入や不動産所得)が年間20万円を超える人
  • 400万円を超える公的年金を受け取った人
  • 会社員で、医療費控除の申告が必要な人

通常の確定申告書に、ふるさと納税の寄付額や寄附先の情報を記載して申告しましょう。なお、上記に当てはまる人はワンストップ特例制度を利用できないため、注意してください。

ワンストップ特例制度を利用できなかった人

ワンストップ特例制度を利用できなかった人は、確定申告が不可欠です。

  • 1年間で6自治体以上に寄付をした
  • ワンストップ特例制度そのものを利用しなかった
  • ワンストップ特例制度の申請書を出し忘れた
  • ワンストップ特例制度の申請期限に間に合わなかった

ワンストップ特例制度を利用するには、寄付先から送られる申請書に必要事項を記入し、返送する必要があります。

寄付する際に「ワンストップ特例制度を利用する」と選択するだけでは、申請したことにならないため注意しましょう。なお申請書の提出は、ふるさと納税をした翌年の1月10日必着です。

所得税からの還付を受けたい人

確定申告をすると、人によっては所得税の還付金を受け取れます。
そのため所得税からの還付を受けたい人は、あえて確定申告するのも1つの方法です。なお通常は、確定申告から1ヶ月~1ヶ月半で還付金が受け取れます。

注意!確定申告するとワンストップ特例制度は無効になる

ワンストップ制度を申請した上で確定申告すると、ワンストップ制度の申請は自動的に無効となります。

そのため誤ってワンストップ制度を申請してしまっても、キャンセル手続きは不要です。そのまま確定申告書を作成して提出してください。

ただし、ワンストップ制度を利用したときに寄付先から送られてくる領収書は、自分で確定申告をする際も必要です。誤って捨ててしまわないよう、注意しましょう。

確定申告の前に準備すべき書類やアイテム

確定申告の前に必要な書類やアイテムは、以下のとおりです。

  • 寄付金受領証明書または寄付金控除に関する証明書
  • 申告期間の源泉徴収票(ある人のみ)
  • 還付金の受け取り口座番号が分かる書類(本人名義)
  • マイナンバーカード
  • 封筒・切手(郵送での提出の場合のみ)

「寄付金受領証明書」は、寄付した自治体から送られてくる書類です。複数の自治体に寄付した場合は、それぞれの自治体から個別に送られてきます。すべて大切に保管しておきましょう。

また、寄付金受領証明書は「寄付金控除に関する証明書」でも代用できます。寄付金控除に関する証明書とは、国税庁長官が指定した特定事業者の発行する書類です。

たとえば「さとふる」「楽天ふるさと納税」といったサイトで別途申請することで、電子、または郵送で発行してもらえます。

またマイナンバーカードがない人は、マイナンバーの通知カードや住民票などマイナンバーを確認できる書類と本人確認書類の2点で代用できます。

確定申告書を郵送する場合は、書類提出用の封筒や切手も忘れずに用意しましょう。

確定申告の際にどの書類を用意すべきかは、下記の図でも確認できます。

確定申告書の提出方法はe-Tax・郵送・持参

確定申告書の提出方法は、以下の3種類があります。

上記のうち、確定申告書の作成から提出までをオンラインで完結できるのがe-Taxです。e-Taxは確定申告時期の混雑した税務署に行きたくない人や、できるだけ手軽に申告を済ませたい人におすすめです。

また郵送はパソコンやスマホでの操作が苦手な人や、紙で内容をしっかり確認したい人に向いています。

一方、税務署に確定申告書を持参すれば、その場で職員に目を通してもらえることもあります。そのため、内容の不備に気づきやすいという利点があるのです。

このように、確定申告の方法はそれぞれにメリット・デメリットがあります。自分に最適な提出方法を選べば、確定申告の負担を軽減できるでしょう。

e-Tax

e-Taxとは、インターネット上で確定申告書を作成・提出できるシステムです。

税務署に足を運ぶ必要がなく、自宅で確定申告書を印刷する必要もありません。1月上旬から24時間いつでも申告できる点も、e-Taxの魅力です。

さらに青色申告者の場合は、e-Taxを利用するだけで10万円の所得税控除が受けられるメリットもあります。申告書類確認の自動化という観点からも、国が推奨する申告方法です。

e-Taxを利用するには、事前の準備が不可欠です。マイナンバーカードを持っていない人は確定申告前に税務署へ行き、e-Tax専用のIDとパスワードを発行してもらいましょう。IDとパスワードを取得した後は、自宅から確定申告が可能です。

マイナンバーカードを持っている人は、スマホやタブレットとパソコンをペアリングさせることでe-Taxが利用できます。まずはお使いの端末が推奨環境を満たしているか、国税庁の「マイナンバーカード方式で申告するための準備」をご覧ください。

OSやバージョンが問題なければ、同サイトの「事前準備セットアップファイル」をダウンロードし、セットアップを開始します。画面に沿ってセットアップが完了したら、事前の準備は完了です。

国税庁のサイトやお使いの会計ソフトから確定申告書を作成し、その後e-Taxで提出しましょう。

郵送

郵送ではe-Taxと同様、自分の好きなタイミングで簡単に提出できます。また、税務署が近くにない場合でも、ポストに投函するだけで提出が完了できる手軽さも魅力的です。ただし、注意点もいくつかあります。

まず、提出する税務署の宛先を間違えないよう、十分注意しましょう。特に期限ギリギリに提出して宛先の間違いがあった場合、郵便が戻ってくる間に申告期限が過ぎてしまう可能性があります。

また、郵送で提出すると税務署側の確認に時間がかかり、忘れた頃に不備の指摘を受けるケースもしばしば。時間が経つと申告内容を忘れたり、必要書類をどこへ置いたか分からなくなったりする場合もあるため、対応に手間がかかる可能性もあります。

さらに、郵送で提出する場合は、寄付金の領収書などの添付漏れが起こりやすいです。このほか、人によっては生命保険や社会保険料の控除証明書などを同封するケースもあります。封をする前には、添付書類がそろっているかどうかよく確認しましょう。

持参

確定申告書の内容に不安のある人は、税務署に直接持参して提出しましょう。窓口で直接提出すれば、職員がその場で申告内容をチェックしてくれることもあります。明らかなミスや記載事項が見つかれば、その場で修正できることがある点がメリットです。

会場で誤りを見つけたら、間違えたところに二重線を引いて、傍に正しい情報を書き直します。なお令和3年4月から確定申告書の押印義務はなくなったため、修正印は必要ありません。

ただし確定申告時期の税務署は非常に混雑する場合が多いため、時間に余裕を持って行きましょう。地域にもよりますが、開庁前から長蛇の列ができることは珍しくありません。

ふるさと納税後の確定申告のやり方

ふるさと納税の確定申告書類作成には、以下のやり方があります。

確定申告のやり方 こんな人におすすめ
国税庁サイトの確定申告書作成コーナーを利用する
  • 確定申告書をするのが初めて
  • 順を追って確定申告書を作成したい
  • e-Taxで申告したい
会計ソフトを利用する
  • 自営業者
  • 副業を営んでいる
  • 日頃から会計ソフトを使っている
  • e-Taxで申告したい
ふるさと納税ポータルサイトの確定申告書作成サービスを利用する
  • 寄付金控除以外に申告する項目がない
  • 確定申告書作成サービスのあるサイトを利用している
  • 確定申告を簡単に済ませたい
税務署の相談窓口を利用する
  • 人に教えてもらいながら確定申告書を作成したい
  • 間違いのない確定申告書を作成したい
  • 税務署に行く時間がある

自分に合ったやり方で、スムーズに確定申告を済ませましょう。

国税庁の確定申告書作成コーナーを利用する

国税庁の確定申告書作成コーナーを利用し、画面指示に従って入力するだけで簡単に確定申告書が作成できます。

ここからは、会社員の方がパソコンで書類を作成して印刷し、税務署に郵送または持参で提出することを想定して、その方法を解説します。スマホでも同様に進行できますが、画面が小さく入力がしづらいこともあるため、パソコンでの入力をおすすめします。

(1)まずこのコーナーにアクセスし、「申告書等を作成する」のボタンをクリックして以下の画面に移動します。

確定申告手順

このような画面になったら、まずは希望する申告方法を選択します。その後は推奨環境を確認してから利用規約に同意してください。以下の画面に切り替わります。

確定申告手順

(2)「所得税」をクリックすると、入力開始画面が表示されます。「作成開始」をクリックし、入力を始めましょう。

確定申告手順

以下の画像のように、上から順に入力を進めます。まずは生年月日、次に上から質問に答えていきます。「はい」「いいえ」を選んでいくと、次の質問が表示される仕組みです。

このときふるさと納税をした人は「以下のいずれかの控除を受けますか?」の問いに対して「はい」を選択してください。

確定申告手順

(3)次に、源泉徴収票について回答します。源泉徴収票がデータで発行されている場合はアップロードを、紙で発行されている場合は内容を手入力しましょう。

確定申告手順

源泉徴収票の内容を入力し、「次へ進む」をクリックすると次の画面に移ります。

確定申告手順

表示されている金額に間違いがなければ、画面右下の「入力終了(次へ)」をクリックします。以下の各種控除額を入力する画面に切り替わります。

確定申告手順

(4)ふるさと納税の寄付金を入力するのは、「寄附金控除」の欄です。右側の「入力する」をクリックします。

金額や寄付先の自治体名は、寄付金受領証明書に記載のとおり入力してください。複数の自治体に寄付した場合は、画面下オレンジ色の「別の寄附先を入力する」をクリックして、先ほどと同様に入力しましょう。

(5)すべての寄付について入力が済んだら「入力内容の確認」をクリックし、下記画面で間違いがないかをチェックします。

問題なければ「次へ進む」をクリックします。続いて表示される下記の画面で、先ほどの画面に寄付金控除額が反映されていることを確認します。

(6)ふるさと納税以外にも控除がある場合は、これまでと同様に入力します。

次の画面でも控除に関する入力がありますが、該当しなければ何も選択せずに次へ進んで問題ありません。すると、下記のように入力内容の確認画面へ移ります。

(7)内容を確認し、間違いや入力漏れがなければ画面下部のボタンから次の画面へ進みましょう。下記の画面では、申告者の住所や氏名、還付金受取口座などの情報を入力していきます。

漏れなく入力し終わったら「次へ進む」をクリック。次の下記画面では、マイナンバーを入力します。

マイナンバーが分からない場合は、何も入力せず「次へ進む」をクリックし、表示された画面で「いいえ」を選択することで入力を保留できます。

このとき「入力データを一時保存する」をクリックしておくと、データがいつでも引き出せます。いったん作業を中断したい場合や後日印刷する場合は、データを保存しておくと便利です。

(8)最後に、「次へ進む」をクリックして確定申告書を印刷します。

上記画面のとおり印刷したい申告書にチェックを入れ、緑色の「印刷」をクリックします。なおe-Taxを選択している場合、印刷のステップはありません。

印刷が済んだら画面下部の「次へ進む」をクリックします。

下記の画面が表示されたら、確定申告書の作成は完了です。

来年にデータを引き継ぐ場合は、「データを保存する」をクリックしておきましょう。

このように、画面の指示に沿って入力していくだけで、確定申告書が作れます。源泉徴収票や還付金受け取り口座の情報といった資料が事前にそろっていれば、よりスムーズに作業できるでしょう。

会計ソフトを利用する

日頃から会計ソフトを使って売上を記録している人は、会計ソフトを使って確定申告書を作成できる場合もあります。

会計ソフトを使えばあらかじめ入力した情報をそのまま反映できるため、ほぼ自動で確定申告書が作成できて便利です。

ふるさと納税の寄付金については、以下の欄に記載します。

  • 確定申告書AまたはBの第1表「寄付金控除」欄
  • 確定申告書AまたはBの第2表「寄付金控除に関する事項」欄
  • 確定申告書AまたはBの第2表「住民税に関する事項」の「都道府県、市区町村への寄附(特別控除対象)」欄

どの欄に何を記入するかは、以下の画像のとおりです。

また会計ソフトの多くは、e-Taxの申告にも対応しています。自分にとって負担のないやり方で申告してください。

ふるさと納税サイトの確定申告書作成サービスを利用する

ふるさと納税サイト内の確定申告書作成サービスを利用すれば、確定申告を簡単に行えます。たとえば「さとふる」には「カンタン確定申告」というサービスがあり、寄付金控除に特化した確定申告書を5分程度で作れます。

還付申告にも対応しており、ふるさと納税のほかに控除や特別な申告項目がない人にとっては非常に便利なサービスです。ただしすべてのふるさと納税サイトにこうした機能があるわけではりません。

自分の使っているサイトに確定申告書作成サービスがあるか、あらかじめ確認しておきましょう。なお、サービスによっては医療費控除や住宅ローン控除など、ふるさと納税以外の申告項目を網羅できていない可能性もあります。

税務署の相談窓口を利用する

税務署の相談窓口は、平日の日中に時間が取れる人におすすめの方法です。

確定申告の時期になると、税務署は確定申告書の相談窓口を開設します。申告書の書き方を一から教えてもらいたい人は、税務署のこうしたサービスを利用すると良いでしょう。税務署の職員に不明点を聞きながら確定申告書を作成できるため、間違いが起きづらく安心です。

ただし確定申告の時期は、税務署が非常に混み合います。また土日や平日17時以降の時間は、税務署は開庁時間外のため注意してください。

ふるさと納税の確定申告はいつまで?

ふるさと納税の確定申告は、毎年2月16日から3月15日までです。e-Taxの場合は、1月上旬から申告が受付開始となります。申告期限は、いずれの提出方法でも基本的に3月15日までとなるため遅れないように注意してください。

ただし、2021年においては新型コロナウイルス感染症の感染拡大を考慮し、4月15日までへと延期されました。このように、場合によってはイレギュラーな申告期間となるケースもあります。そのため事前に国税庁のホームページなどで日程をチェックしておくと安心です。

なお税務署の開庁時間は基本的に午前8時半から17時までです。開庁時間を過ぎると、提出は受け付けてもらえません。さらに確定申告の申請期限が過ぎると、「無申告加算税」や「延滞税」といった罰金が課せられます。

期限内に提出さえ済ませていれば、後に修正や書類の追完が必要になった場合でも、罰金が課せられることはほとんどありません。確定申告書の作成と提出においては、十分な時間のゆとりを持ちましょう。

ふるさと納税の確定申告には余裕を持とう

ふるさと納税をすると、確定申告が必要な場合とそうでない場合があります。確定申告をする場合は、申告忘れがないよう早めに準備を進めましょう。申告書の作成時間に余裕を持ち、自分にあった提出方法を選べば負担も減るはずです。

ふるセレでは、ほかにもふるさと納税の確定申告といった手続きに役立つ情報を発信しています。税金や還付などの疑問は、ぜひふるセレのお役立ち記事で解消してください。

さらにふるセレでは簡単な確定申告サービスのある「さとふる」や楽天ポイントが貯まる「楽天ふるさと納税」などを網羅的にチェックできます。これからふるさと納税をしようと考えている人はぜひ各サイトを比較し、自分の欲しい返礼品を見つけてみてください。

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