ふるさと納税の税金控除と住宅ローン控除は併用できる!
住宅ローンで控除を受けているのにふるさと納税の控除も受けられるの?と思っている人もいるでしょう。
ふるさと納税と住宅ローン控除は、併用して両方の控除を受けることが可能です。
ふるさと納税と住宅ローン控除は、どちらも「所得税」と「住民税」から税金の控除を受けられます。
ただし、納税した金額からの控除になるため、納税額以上の控除は受けられないので、そこは注意が必要です。控除を受けられる限度額(控除限度額)は人によって異なるので、事前に調べておきましょう。
ふるさと納税、住宅ローン控除ともに確定申告をしてもしなくても控除は受けられますが、控除額が変わる場合があります。控除限度額シミュレーターなどを利用して、控除額を計算するといいでしょう。
住宅ローン控除を受けるなら、ワンストップ特例制度を利用すると控除額は減らない!
ふるさと納税をする場合、確定申告かワンストップ特例制度のどちらかの手続きをすることによって控除を受けることができます。
住宅ローン控除とふるさと納税を併用する場合、ふるさと納税はワンストップ特例制度を利用するのが良いでしょう。
なぜなら、ワンストップ特例制度を利用すると、ふるさと納税の寄付分は住民税からのみ控除され、住宅ローン控除に影響を与えることなく両方の控除を受けられるのです。
ワンストップ特例制度を利用するとなぜ控除額が減らないかは記事後半「ワンストップ特例制度を利用すると控除額が減らない理由」で詳しく解説します。
そもそも住宅ローン控除とは
正式名称を「住宅借入金等特別控除」といいます。12月31日時点の住宅ローンの残高の1%(最高40万円まで)の税金の控除を受けることができます。
例えば、住宅ローンの年末残高が3000万円の場合の控除額は、3000万円×1%=30万円となります。
住宅ローン控除を受ける際、初年度については確定申告が必須になります。
サラリーマンの場合、2年目以降は確定申告不要で、年末調整で住宅ローン控除を受けることが可能です。
住宅ローン控除は原則、所得税から控除を受けます。所得税を控除しても、まだ住宅ローン控除が残る場合は、住民税から残額を控除します。
ふるさと納税と住宅ローン控除を併用するならまずはシミュレーション
ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する際、実際にいくら控除されるのか、控除限度額はいくらになるのか、事前に把握しておきたいところです。
そこでおすすめなのがふるさと納税サイトが提供するシミュレーションツールを使うことです。当サイト(ふるセレ)でも控除限度額を計算できるシミュレーションツールを提供しています。
給与収入額や保険料などを記入していくだけで簡単に控除限度額を算出できるので、ぜひ利用してみてください。
ふるさと納税の控除限度額計算シミュレーションツールはこちら
シミュレーションツールを使って、確定申告をする場合との差額を確認する
ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する場合、確定申告を利用すると、ワンストップ特例制度を使う場合に比べて控除される金額が変化する可能性があります。
シミュレーションツールでは住宅ローン控除を受ける場合の控除上限額も算出することができます。
以下の手順に沿って、住宅ローン控除を受ける際の控除上限額を調べてみましょう。
- シミュレーションツールに収入や保険料などの必要事項を入力
- ふるさと納税で控除できる控除上限額が算出
- 住宅ローン控除の項目に入力
- 住宅ローン控除を受ける場合の控除上限額が算出
住宅ローン控除1年目は要注意!ふるさと納税と併用するときの注意
ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する場合、ワンストップ特例制度を利用すれば住宅ローン控除の控除額に影響を与えることなく控除を受けられます。
しかし、住宅ローン控除を受ける場合、1つだけ気をつけないといけないことがあります。
住宅ローン控除を受ける初年度(1年目)は確定申告が必要!
上述のように、住宅ローン控除を受ける初年度(1年目)は確定申告をする必要があるため、ふるさと納税でワンストップ特例制度を利用することができません。
住宅ローン控除2年目以降は、年末調整により住宅ローン控除を受けることができるため、ふるさと納税でワンストップ特例制度を利用することができます。
また、医療費控除を受ける場合などふるさと納税以外の事由で確定申告が必要となる場合には、ふるさと納税でワンストップ特例制度を利用できないので注意が必要です。
ふるさと納税と住宅ローン控除のやり方│ワンストップ特例制度と確定申告の違い
ふるさと納税と住宅ローン控除は併用して控除を受けることが可能です。
ここからはふるさと納税と住宅ローン控除を併用して控除を受ける方法と注意点を解説していきます。
▼ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する場合の注意点
ふるさと納税の控除申請の方法はワンストップ特例制度と確定申告の2通り
ふるさと納税をして税金の控除を受ける方法は2通りあります。
- ワンストップ特例制度
- 確定申告
ワンストップ特例制度と確定申告の最大の違いは、控除対象となる税金が異なることです。それぞれの申請で控除される税金は以下のようになります。
▼控除される税金の違い
申請方法 | ふるさと納税をして控除される税金 |
---|---|
ワンストップ特例制度 | 住民税のみから控除 |
確定申告 | 所得税と住民税から控除 |
ワンストップ特例制度を利用すると、ふるさと納税をした寄付金額分は住民税からのみ控除されます。
一方、確定申告を行うとふるさと納税の控除は所得税と住民税の両方から控除されます。
住宅ローン控除の控除は、原則として所得税から控除になるため、確定申告を行うとふるさと納税・住宅ローン控除ともに所得税から控除を受けることになるのです。
それでは、それぞれの方法を詳しくみていきましょう。
ワンストップ特例制度を利用すると控除額が減らない理由
ふるさと納税でワンストップ特例制度を利用する場合は、住宅ローン控除と併用しても控除額に影響しない
ワンストップ特例制度を利用すると、ふるさと納税の控除は住民税のみから受けられます。
住宅ローン控除とふるさと納税を併用する場合の控除の流れは以下のようになります。
▼ワンストップ特例制度を利用して住宅ローン控除と併用した場合、控除される順番
- 所得税から住宅ローン控除額が控除される
- 所得税から控除仕切れなかった場合、住民税からも控除(上限あり)
- ふるさと納税分は住民税から寄付全額分(自己負担2,000円分を除く)を控除
住宅ローン控除は所得税から控除をするため、ふるさと納税と住宅ローン控除で控除対象となる税金が異なります。
よって、住宅ローンによる控除を満額受けられない、という事態を回避できます。
ふるさと納税をワンストップ特例制度で申請すれば、住宅ローン控除で受けられる控除額には影響がない一方、確定申告をする場合には控除される金額が減少する可能性があります。
確定申告をする場合は控除額が減少する可能性あり
ふるさと納税で確定申告を利用すると控除額が少なくなる可能性がある。
ふるさと納税と住宅ローン控除を併用し、かつ、確定申告でふるさと納税の控除を受ける場合には住宅ローン側の控除が最大化されない場合があることについて解説していきます。
ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する際、確定申告をして控除を受ける場合の順番は以下のようになります。
▼確定申告をした場合、控除される順番
- 所得控除としてふるさと納税の寄付金額分が控除される
- 課税総所得が確定し、課税総所得を元に所得税の納税額が決まる
- 所得税から住宅ローンの控除額が控除される
- 所得税から控除しきれなかった住宅ローンの控除額が住民税から控除
- 住民税からふるさと納税の寄付金額分が控除
住宅ローン控除は、原則として所得税から控除を受け、控除しきれなかった分を住民税から控除される仕組みですが、確定申告を利用すると、ふるさと納税分も所得税と住民税から控除を受けることになります。
ただし、住民税から受けられる控除は上限が決められています。上限を超えてしまう分は控除を受けられないため、一番最後に控除される住民税から受けるふるさと納税の控除額が満額受けられない可能性があるのです。
確定申告が必要な人
確定申告をすると控除額が減少する可能性があるならワンストップ特例制度を使おう、と思う人も多いでしょう。しかし、確定申告をしなくてはいけない場合があるのです。
以下の条件に当てはまる人は確定申告が必要です。
▼確定申告が必要な人
- 元々確定申告が必要な人(個人事業主やフリーランスの人など)
- 1年間で寄付をした自治体の数が6自治体以上ある人
- 一箇所で期限内にワンストップ特例の申請書を提出できなかった人
上記はふるさと納税をする際に確定申告が必要な人ですが、そもそも住宅ローン控除を受ける初年度(1年目)は確定申告を必ずしないといけないため、該当する人は注意が必要です。
ふるさと納税と住宅ローン控除併用の詳しい仕組みと計算式を解説
所得税の控除はふるさと納税分の控除を先に行い、その後に住宅ローン控除を適用します。
所得税から控除してもまだ住宅ローン控除に残額が残る場合は、住民税から差し引くことができますが、住民税から差し引くことができる金額は、最大「前年分の所得税の課税総所得金額等の7%(最大13万6,500円)」となっています。
そのため、ふるさと納税で所得税の控除が大きい場合は、住宅ローン控除を一部しか使えない可能性があります。例えば、次のようなイメージです。
▼納税額の例
納める税金:所得税40万円/住民税30万円
ふるさと納税による所得税の控除:30万円
住宅ローン控除40万円の場合
▼計算式
所得税40万円-ふるさと納税による所得税の控除30万円=所得税未控除分10万円
▼
住宅ローン控除が30万円残る
▼
住民税30万円-住宅ローン控除13万6,500円(※)=16万3,500円
※前年分の所得税の課税総所得金額等の7%(最大13万6,500円)
ひとつずつ詳しく解説していきます。
1.ふるさと納税を使って、所得税を控除する
ふるさと納税による所得税の控除30万円は、所得税40万円から全額差し引くことができます。
所得税40万円-ふるさと納税による所得税の控除30万円=所得税未控除分10万円
2.ふるさと納税で控除できなかった所得税を住宅ローンで控除する
住宅ローン控除40万円で、所得税未控除分10万円を控除した場合、住宅ローン控除が30万円残ります。
3.所得税を差し引いて余った住宅ローン控除は、住民税から控除する
住民税は30万円のため、本来は住宅ローン控除の残額30万円で全額を控除できます。しかし、住民税から差し引くことができる金額は最大13万6,500円のため、住民税30万円-住宅ローン控除13万6,500円=16万3,500円の住民税が余ります。これは、納税する必要があります。
※あくまで考え方を示すためのイメージです。実際の所得税や住民税の計算とは異なります。
このように、確定申告でふるさと納税の控除を受ける場合は、住宅ローン控除を一部しか使えない可能性があります。
まとめ
ふるさと納税と住宅ローン控除は、併用することができます。しかし、確定申告でふるさと納税の税金控除を受ける場合は、住宅ローン控除に影響を与える場合があります。
ワンストップ特例制度を利用している場合は原則、ふるさと納税の税金控除が住宅ローン控除に影響を与えることはありませんが、税金の金額やふるさと納税の金額によって、自己負担額が増える可能性もあります。
ふるさと納税ポータルサイトでは、住宅ローン控除がある場合のふるさと納税の上限額を、シミュレーションすることができます。ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する場合は、事前にふるさと納税の上限額をシミュレーションするようにしましょう。