多様性が創造を生む町・徳島県神山町|移住と暮らしを支えるお金の制度

神山町は徳島県のほぼ中央に位置し、緑豊かな山々と清流・鮎喰川に恵まれた町です。
この小さな町は、IT企業のサテライトオフィス進出の先駆けとして、また「創造的過疎」を掲げながら多様な人々が共生する先進的な地域として、全国から熱い視線を集めています。
この記事では、神山町の移住支援制度や暮らしの支援について解説します。
お話を聞いた方
林 明宏さん 神山町産業観光課
Content目次
新しい生活の基盤となる「住まい」への支援

引用:神山町役場
神山町には、快適な住環境を整えるための手厚い支援制度が用意されています。住宅の取得やリフォーム、設備設置も補助されるので、新生活を始める移住者には大きなメリットとなるでしょう。
若者等のマイホーム取得を応援する補助金
神山町に長く住み続けてほしいという想いから、若い世代がマイホームを取得する際の経済的負担を軽減する制度を設けています。
- 制度名称:神山町若者定住支援住宅新築等補助金
- 対象:申請時に満18歳以上40歳以下で、補助金の交付を受けてから5年以上居住する意思があることなどが条件です。
- 内容:町内で住宅を新築する場合、最大150万円(町内業者の施工は最大200万円)を助成。併せて土地の取得がある場合は最大50万円を加算します。
あるいは工事費用10万円以上の住宅増改築をする場合、最大50万円を助成します(町内業者の施工に限る)。
空き家活用を後押しする改修支援
神山町では、移住促進や空き家の有効活用のため、改修費用を支援しています。
- 制度名称:神山町空き家改修事業補助金
- 対象:神山町移住交流支援センターを介して紹介のあった建物、または空き家であることが証明された建物で賃貸借契約等の契約日から1年が経過していないもの。補助金の交付を受けてから5年以上居住する意思があることなどが条件です。
- 内容:空き家を活用するために必要となる住宅本体の工事について、最大50万円を助成します。
快適な住環境のための設備補助
住宅だけでなく、快適な暮らしを支える設備についても支援される制度があります。
- 浄化槽設置整備事業:家庭から出る生活排水を微生物のはたらきで浄化する「浄化槽」を設置する場合に補助金を交付。5人槽は332,000円、7人槽は414,000円、10人槽は548,000円。既存のくみ取り槽と単独処理槽を撤去した場合や撤去に伴う宅内配管工事を行った場合も補助。
- 生ごみ処理機購入補助:生ごみ処理機購入費用の2分の1を補助(上限40,000円)。
詳しい内容については神山町の公式サイトをご覧ください。
医療から教育まで、子育てサポートも充実

引用:神山町役場
神山町は子育て世帯へのサポートも充実しています。妊娠・出産期から子どもの教育まで、幅広い支援制度についてご紹介します。
妊娠・出産を安心して迎えるための支援
神山町では「妊婦一般健康診査」の費用の一部を公費で最大14回まで助成しており、県外の医療機関で受診した場合でも払い戻しを受けられます。安心して妊婦健診を受けられる環境が整っているのは心強いポイントです。
また、出産後には「ファーストバースデー祝金」として、満1歳の誕生日を迎えるお子さんに対し、5万円の祝い金が支給されます。対象条件に町税の納付状況などがあるものの、家計の支援になる嬉しい制度です。
保育についても、町内には下分保育所と広野保育所の2か所があり、0歳から5歳までの乳幼児保育を実施。しかも保育料はすべての子どもについて無料です。また、給食費(主食費と副食費)も無料です。保護者の就労支援として病児・病後児保育も利用でき、働く家庭の強い味方となっています。
子どもの健康を守る医療費助成と予防支援
子どもの健康を守るための取り組みも充実しています。子どもの医療費を幅広くカバーする「子どもはぐくみ医療費助成」では、0歳から18歳までの子どもを対象に、保険診療の自己負担分や入院時の食事代を助成。所得制限がないのが特徴で、すべての子育て世帯にメリットがある制度です。
各種予防接種に対する支援も行っています。「予防接種広域化」制度により、徳島県内委託医療機関で定期接種が受けられるほか、事前に届け出をすれば、県外で接種した場合も助成の対象になるなど、柔軟な対応が特徴です。
教育の機会を広げる支援
教育に関する支援も神山町の大きな魅力です。小中学生には「入学準備助成」として3万円が支給され、給食費は全額無償。学校で使用するワークブックや実習材料なども公費で負担されるので、保護者の負担は最小限に抑えられます。
さらに、中学生には部活動の支援として「体育・文化活動費補助金」があり、月額1,000円が支給されます。また高校生以上には「奨学資金貸付金」制度があり、条件を満たせば返済免除となる場合もあります。
町内・町外への移動を快適に

引用:神山町役場
神山町には大型のショッピングモールなどはありませんが、日々の暮らしの"足"を確保するためのユニークな制度「まちのクルマLet's利用助成」があります。これは、町民の誰もが使えるタクシー助成制度です。
1回の利用につき、運賃の8,000円を上限としてその85%分を補助。利用回数に制限はありません。町内はもちろん、隣の石井町や徳島市の一部へもお得に移動することができます。高齢者だけでなく、運転免許を持たない方のお出かけや、子育て中の買い出しにも便利です。
お金だけじゃない神山町の魅力|挑戦が生まれる土壌
神山町は経済的な支援制度だけが魅力ではありません。多様な人々が集い、新たな挑戦が次々と生まれる、その創造的な土壌そのものにも魅力があります。
人々が集い、つながる交流拠点
町を流れる鮎喰川のほとりにある「鮎喰川コモン」は、今の神山町を象徴する場所のひとつです。

引用:鮎喰川コモン
ここは、子どもから大人まで、町民や来訪者が世代や属性を越えて集う交流拠点。勉強や読書のできる空間や小上がり、大きな本棚などがあり、"まちのリビング"として親しまれている場所です。放課後には子どもたちが集まり、その傍らで大人がコーヒーを片手に語り合う。そんな光景が日常にあります。
また、町内の様々なイベント情報が集まるウェブサイト「in Kamiyama」も重要なプラットフォームです。情報を得るだけでなく、誰もが自らイベントを発信でき、地域とのつながりを生み出すきっかけとなっています。
新しい働き方が生まれる場所
神山町が注目されるきっかけとなったのが、企業のサテライトオフィス。「神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス(KVSOC)」は、その中心的な役割を担う存在です。
古い縫製工場をリノベーションして作られたこの施設には、都市部のIT企業などが入居し、多様なスキルを持つ人々が働いています。
このような場所の存在が、地域に新たな雇用を生み、多様な働き方を許容する雰囲気を作り出しています。
よくある質問

引用:神山町役場
Q. 移住の相談はどこにすればよいですか?
補助金制度や行政サービス全般に関するご相談は、神山町役場 産業観光課へお問い合わせください。
実際の暮らしの様子や仕事、住まい探しといった、より移住生活に密着したご相談は、NPO法人が運営する神山町移住交流支援センターが担っています。公式ウェブサイト「in Kamiyama」からお問い合わせいただけます。
Q. 買い物や交通で不便な点はありますか?
町内に大型のショッピングモールやスーパーマーケットはありません。日々の食料品などは個人商店で購入できますが、まとめて買い物をしたい場合は、町外へ出る必要があります。
しかし、先述の通り、誰もが利用できるタクシー助成制度「まちのクルマLet's」があり、隣接する市町へ気軽に出かけることが可能です。
徳島市中心部へも車で1時間弱と、都市へのアクセスも比較的良好です。
まとめ
徳島県神山町は創造的な人々が集い、新たな価値が生まれる町です。
経済的なサポートを活用しながら、誰もが主役になれるこの場所で、あなたらしい暮らしを始めてみませんか。
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